
毎年1月1日の時点で不動産を所有していると、もれなく課税されるのが固定資産税です。
国は納税という厳然たる国民の義務にのっとって税金の徴収を粛々と行うわけですが、がんばって不動産を手に入れたのはいいけれど、新たな税金の支払い義務が発生しまった人間にとっては、ある日突然封書が届いて、その中には自分がいないところで決められた税額が記入されているわけです。ほぼ大方の人はその税額に異論を差し挟むこともなく支払ってしまうわけですが、この『固定資産税を値切った男』は、そうは問屋が卸しません。
一念発起して銀行から多額の融資を受け、できるだけ自分で動けるところは自分で動いて大工仕事も手伝い、さらに頑丈で経済的な工法を建築士と相談してやっと完成した作品と呼ぶにふさわしい小さなビルを建てました。
そのビルの郵便受けに、なんの前ぶれも挨拶もなく、ある日突然投函されていた仰々しい漢字がたくさん並んだ封筒。
“納税は国民の義務である”という一見隙ひとつない正論と、お金を頂くお得意さまの顔も見ず、一回の見積もりも出さず、納付書綴りという名の請求書だけを送りつけてお金を頂くというような商売がこの世にあってたまるか!という商売人の、これまた正論の一騎打ち。
さてどうなるか乞うご期待です。
ある日投函されていた封筒には赤い文字で『固定資産税についてのお問い合せは市税事務所へ』と書かれてありました。
『親方日の丸』『天下り』『お上には逆らえない』などなど、日本語には日本人の気質を表す慣用句がたくさんあります。
短い時間ではありましたがYさんは男の話を興味深く聞いてくれて、ビルの評価額を再計算をしてみますと約束してくれました。
さんから連絡があったのは、面談してから2週間ほどが経った頃でした。